酸っぱさを抑えてくれる出汁のチカラ
先日、「子どもの野菜嫌いを直す方法」でも触れましたが、基本人間って酸っぱいものが苦手なんですよね。年齢とともに味覚は変化するとは言っても、大人になっても酸っぱいものが苦手という方はやっぱり多いです。
自分も今でこそ好き嫌いはなくなりましたが、昔は梅干しとかトマト、あとはお酢を使った料理とか酸味のあるものは、からきし受け付けなかったものです。しかし、苦手なものでもいつかは克服したいという願望はありました。
もしかしたら皆さんの中でも、こういった酸っぱい食材が苦手だけど、どうにかしてその酸味を抑えて調理したいと思っている方は多いんじゃないでしょうか?
そんな中、「調理に出汁を使うと酸味が抑えられるよー!」っていうデータを見つけましたのでご紹介したいと思います。
かつお出汁で酸味と酸臭を抑制
実験は2011年に行われたもの(1)で、ざっくりと内容を書くと、
- 100℃で30分かけて、思いっきりかつおエキスが抽出された出汁を作る
- 水、もしくは1.のかつお出汁に乳酸を混ぜて酸味を測定する
- 薄めたかつお出汁に乳酸を混ぜたものの酸味も測定してみる
といったもの。現実的にはこんなに高い温度で長時間かつお節を煮出すなんて、雑味が出まくりなので滅多にする人はいませんが、今回はかつおのエキスが酸味を抑えるかどうか知りたいわけなので、これでもかというぐらいかつおのエキスを抽出したわけですね。
酸味の測定には、官能評価(試食による評価)と味覚センサー(機械)による評価の両方の測定方法で評価しております。
でもってどういう結果になったかというと、
- 乳酸の加える量が多いほど酸味が強くなる
- かつお出汁の量が多いほど酸味が弱くなる
ということが分かりました。
そして、味覚センサーによる具体的な酸度はどうだったかというと、加える乳酸の量が同じ場合、
- かつお出汁100%のとき、約-8
- かつお出汁50%のとき、約-3
- かつお出汁10%のとき、約+2
- 水のみのとき、約+3
と、酸と一緒に加えるものが水なのかかつお出汁なのかの違いだけで、相当酸味の度合いに違いが出ることが分かります(数値が低いほど酸味が感じにくい)。
さらに実験では酸味だけでなく、酸臭(酢を使った料理によくあるツンとくる臭い)の違いも測定しておりまして、これについてもかつおだしの加える割合が多くなるほど、酸臭が抑えられたそうな。
以前「かつお節でゴーヤの苦みが抑えられる」ってことは書きましたが、どうやら今度はかつおの成分自体が酸味を抑制してくれるようですね。
ときに、同じ実験では、他の調味料もいろいろあった場合も効果があるのか?ということも検証してくれております。
具体的には、
- 和風ドレッシング(濃口醤油、砂糖、みりん、塩、酢、昆布出汁)
- マヨネーズ(卵黄、油、酢、塩)
に水またはかつお出汁を加えてそれぞれの調味料を完成させ、香気成分に含まれる酢酸量を測定しています。
結果、水ではなくかつお出汁を加えることによって、
- 和風ドレッシングは、71%酢酸量が低減
- マヨネーズは、83%酢酸量が低減
と、かつお出汁が酸味を抑えてくれるというのはやはり間違いなさそうな感じですね。
考えてみれば、和食でも酢のものを作るときに出汁を加えることは多いですし、梅と鰹節の相乗も抜群だったりするので納得の話ですわな。
ちなみに基本五味(甘味・塩味・酸味・苦味・旨味)のバランスによっても味の感じ方はか変わってくるので、そちらもあわせて考えられるともっとよいでしょうな。
それでは、どうぞよしなに。
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