ゴーヤの旨味を残したまま苦味を消すための意外な方法


ゴーヤチャンプルーやお浸しなど、ゴーヤは夏の定番野菜ですね。

そんなゴーヤは苦味が特徴の野菜ですが、あまりにも苦いと美味しくないので苦み取りを行います。

塩もみをしたりだとか、水にさらしたりだとか色々と方法はありますが、もっと手軽に苦味を抑えることができる方法をご存じでしょうか?

あるものを混ぜて調理するだけで、ゴーヤの苦味が抑えられることが分かっています。
なかなか苦みが取れず苦労しているという人も多いと思いますが、この方法だと混ぜるだけで簡単にできるので、難しいことは一切ありません。

さらに塩もみや水にさらす方法と違って、ゴーヤのエキスと一緒に旨味も外に出さないのでより美味しくゴーヤを食べることができます。

かつお節がゴーヤの苦みを抑制

ゴーヤを使ったレシピをいくつか見てみると、かつお節が材料に含まれていることが多いです。これはかつお節によってうま味をプラスする目的とは別に、苦みを取り除く効果があると言われています。

2008年に行われた研究(1)では、このことについて確かめてくれています。

まず、
  • 生のゴーヤ(スライス)
  • ゴーヤチャンプルー
を準備して、それぞれにかつお節を混ぜ、苦みの感じ方がどれぐらい変わるのかを調べました。

かつお節とゴーヤは一緒に加熱せずに、単純にかつお節を混ぜ込んだだけで苦味が減るのかどうかを調べたわけですな。

結果、かつお節を混ぜ込まないものに比べて混ぜ込んだものは、
  • 生のゴーヤでは約1/4、チャンプルーでは約1/3の苦みに抑えられる
ということが分かりました。

ただ混ぜただけなので、苦味成分が取り除かれたわけではないし、さらに一緒に加熱もしていないので化学反応を起こして苦味成分が分解されたということも考えにくいので、単に苦味がマスキングされるというもののようですね。

ちなみに生のほうがチャンプルーにしたものよりも苦味が抑えられていますが、そもそもの苦味が生のほうが強いので、最終的な苦味の強さはどちらもだいたい同じだったそうな。

チャンプルーなどにして油を使うと被膜が作られ、苦みをより感じにくくさせると思いきや、かつお節の効果は油の苦味抑制効果をも打ち消すほどのもののようですな。

かつお出汁ではダメ?

かつお節がゴーヤの苦味をマスキングするということは分かりました。
そして、苦みはうま味や塩味などによって抑制されることが分かっています。

それならかつお節を使わなくても、かつお出汁でいいんじゃないの?と考える人がいると思います。かつお節じゃなくて、ほんだしとかの化学調味料とかのうま味と塩味で代用できたらもっと手軽にできますからね。

しかし残念ながら、出汁やほんだしなどのかつおのエキスではゴーヤの苦味を抑制するには不十分みたいです。

実験の続きで今度は、ゴーヤのエキスにかつおエキスを加えて苦味の強さを測定しました。

その結果、確かにかつお出汁やほんだしなどのイノシン酸ナトリウムの添加によって苦味は抑えられるのだが、かつお節をそのまま混ぜ込んだときに比べて苦味が抑えられる具合は低かったんだとか。

さらに濃縮したかつおエキスを加えた場合、通常の濃度のかつおエキスを加えたときよりも雑味が多く含まれおり、それがゴーヤの苦味を若干強めるということも分かりました。

どうやらかつお節でゴーヤの苦味が抑えられるのは、うま味による抑制効果よりもかつお節そのものを加えることによってはじめて発揮されるようです。

かつお節の出汁がらを使った場合

苦味の抑制が、かつお節のうま味によるものではないとしたら、うま味がすっかり抜けた出汁がらを使っても苦味が抑えられるはずです。

そこで、かつお節の出汁がらによってゴーヤの苦味が抑えられるのかを調べました。

具体的には、
  • 出汁がらとゴーヤを一緒に食べる
  • 出汁がらとゴーヤエキスを一緒に食べる
といった方法です。

結果、
  • 出汁がらでもゴーヤの苦味が大きく減少する
ということが分かりました。

つまり、かつお節の構造がゴーヤの苦味成分を吸着して苦みを感じなくさせるわけです。

しかし、かつお節に苦味成分が吸着するのならそのかつお節を食べたら苦みを感じるんじゃないの?と思うかもしれません。

さらにそれを調べるために、
  1. 出汁がらとゴーヤエキスをすり潰す
  2. それを蒸留水で洗う
ということをしました。すると、
  • ゴーヤエキス入りのかつお節を蒸留水で洗った後も、苦味成分だけがかつお節に残ったままだった
そうです。研究者曰く、

ゴーヤとかつお節を一緒に食べたとき、咀嚼によってゴーヤから溶出した苦味成分は直ちにかつお節に吸着し、舌の苦味受容体を刺激できないようにする。かつお節への苦味成分の吸着力が苦味受容体への親和性よりも強いために、結果として苦味が感じられなくなる。

とのこと。つまり、かつお節に吸着した苦味成分は唾液程度では溶けださないので、苦味成分が吸着したかつお節を食べても苦みは感じにくいということらしいですな。

ただし、蒸留水では苦味成分はあまり溶出されませんでしたが、60%エタノールになると溶出度は高くなったようです。

なので、料理酒などを加えて調理する場合はエタノールによって苦味成分が抑えられなくなる可能性があるので、しっかりとアルコール分を飛ばしてからかつお節を加えないと苦味は抑えられないかもしれません。

どうぞよしなに。

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