片栗粉で料理にとろみをつける時、ダマにならない方法


麻婆豆腐とか中華丼など、あんかけ料理を作るときは片栗粉を使ってとろみをつけますが、ダマになって失敗した経験はないでしょうか?

いくら慎重にとろみをつけようと思っても、慣れないとなかなか難しいですよね。

そこで片栗粉を使ってとろみをつけるときに、失敗せずに簡単にできる方法をいくつかご紹介いたします。

1. 適切な量の水でしっかりと溶く

当たり前かもしれませんが、片栗粉はあらかじめ水で溶いておきましょう。
面倒くさいからと言って間違っても、片栗粉を直に料理に入れてしまっては確実にダマができます。

というのも、片栗粉でとろみがつく原理はデンプンの糊化を利用したものだからです。
片栗粉の正体はジャガイモから抽出した純粋なデンプンなのですが、これは水と一緒に加熱することによって、水を吸って膨らみ、粘度が出てとろみが付く性質があります。

米を炊くと、米に含まれるデンプンが水分を吸って粘り気が出るのと同じですね。
そして米と同様、片栗粉も加熱する前に吸水しておく必要があります。

片栗粉をそのまま熱い汁の中に入れてしまうと、片栗粉の塊の表面だけが加熱されてしまい、塊の中心部は全体に広がることができず、一部だけが糊化されてダマになってしまうのです。

なので、片栗粉は料理に加える直前に水で溶いて、全体に広がりやすくしてあげる必要があるわけですな。

そして片栗粉を溶くときの水の量なのですが、片栗粉1に対して、水1~2にしておくと良いです。手早くできる技術があれば1:1が理想なのですが、そうでない場合1:2が限度です。

というのも、水が多すぎると汁に対する片栗粉の割合が減り、とろみが付きにくくなります。

そうすると、
  • 味が薄まり調味料をさらに足さねばならずもったいない
  • 料理に使った具材から染み出たうま味も薄まる
  • 長時間加熱することになるので、具材から水分が出てさらにとろみが付きにくくなる
などの弊害があるわけです。なので、
  1. 水溶き片栗粉を必ず作る
  2. 片栗粉:水=1:1 or 1:2
は必ず守りましょう。

2. 少しずつ入れる

同じ理由で、水溶き片栗粉を作ったとしても一気に入れてしまうと、均一に汁に混ざる前に片栗粉が糊化してしまいダマになってしまいます。

水溶き片栗粉の利点は、汁の中で片栗粉が拡散されやすくなることですが、一度に入れる量が多いと、少ない量を全体に一気に混ぜるよりも難易度が高くなります。

味噌汁をつくるときに、味噌を大量に溶かすよりも、少量を溶かす方が早く溶けるのと同じですね。

なので、水溶き片栗粉は一気に入れようとせず、少しずつ入れることがダマにならないポイントのひとつです。

3. 火を弱める

また、水溶き片栗粉を入れる時は、一度火を弱めるとダマができにくいです。

片栗粉は60℃以上で糊化し始める性質を持っていますが、温度が高くなるほど糊化のスピードも速くなります。

つまり、グツグツと沸騰した状態の汁に入れてしまうと、汁全体に片栗粉が均一に混ざる前に瞬時に固まってしまい、ダマができてしまうわけです。

なので、片栗粉を加えるタイミングは、
  • 沸騰したあと火を弱めて温度を下げてから入れる
  • もしくは沸騰する直前に加える
のが失敗しないタイミングです。

4. とろみが付いた後も加熱し続ける

あんかけを作るときの失敗の原因として意外と多いのが、加熱不足です。

片栗粉というのは見た目で溶けたように見えていても、水に溶けない性質を持っているため、時間が経つと沈殿してきます。つまり、一時的に水の中に片栗粉の粒子が混ざっているだけなわけです。

料理し始める前に水溶き片栗粉を作って置いたら、いざ使おうとしたときに底に沈殿していてもう一度混ぜ直さなければいけなかったということを経験したことのある人は多いと思いますが、そういうことです。

そして同じことが、熱い汁に加えたときにも起こります。片栗粉を加えてとろみが付いたと安心して火を消しても、実はまだ完全にすべての片栗粉が糊化したわけではないのです。

片栗粉が完全に水分を吸って火が通るには、最低1分が必要です。

それも、最低1分というのは調味料を一切加えていない、ただのお湯にとろみをつけだ場合であって、塩や砂糖、酢などを加えたときにはさらに時間がかかります(1)。

例えば、片栗粉が完全に糊化するためには、95℃の加熱で、
  • 汁に対して5%の砂糖を加えた場合、1分50秒必要
  • 少量の酢を加えた場合、2分30秒必要
  • 砂糖と酢を一緒に加えた場合、3分30秒必要
などですね。これは調味料が水に溶けたときに、調味料のイオンが水分子を引き付け、片栗粉が水と反応するのを邪魔するからなんですね。

そして片栗粉は温度が高いほど糊化しやすいのは確かなのですが、60℃以上でも糊化し始めるという性質を持っています。
完全に片栗粉に火が通らず糊化していないと、時間が経ったときに底に沈殿しはじめ、余熱でそれらがダマになって固まるというわけですね。

なので、とろみが付いたと思ってすぐに火を消すのではなく、2~3分は底に沈殿しないように混ぜ続けながら、加熱することが重要です。混ぜ続けることで、底が焦げることも防げますしね。

5. 翌日~数日保存するとダマがさらにできる

片栗粉で作ったあんかけは数日たつと、ダマが生まれます。

これはデンプンの老化が原因で、水の中に拡散していたデンプンがもう一度結晶化して固まっていしまうものです。炊いた米を冷蔵庫に置いておくと硬くなるのと同じ現象ですな。

デンプンの老化は0~5℃付近で最も早く進行します。家庭用の冷蔵庫が約5℃なので、数日あんかけを保存したらダマができるのは当然の温度帯なわけです。

デンプンの老化を防ぐには、
  1. 砂糖を使う
  2. 70℃以上、または0℃以下で保存する
というのが効果的らしいです。

なので、あんかけを作った当日に食べれない場合、
  • 味付けに問題が無ければ砂糖を多めに使う
  • 70℃以上で保存するのは現実的に無理なので、冷凍庫で保存する
ということをすると、時間が経ってあんかけがダマになったり硬くなったりするのを抑制できますね。

どうぞよしなに。

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