プリプリした海老を食べたいなら、頭は早く取ったほうが良い理由


頭がついたエビを見ると、ついていないものに比べておいしそうに思えることもありましょうが、実際は頭のついていないエビのほうがおいしいことをご存じでしょうか?

確かに頭のついたエビは見栄えも良くておいしそうに見えますが、だまされたと思って頭のついていないエビを選んでみると、プリプリとしたおいしい海老に出会える可能性が高いかもしれません。

エビの頭が身をマズくする理由

魚介類を含めて全ての動物は、死ぬと内臓から特別な酵素が出て肉質を変化させます。
これはプロテアーゼと呼ばれる酵素によるものなのですが、別名タンパク質分解酵素とも呼ばれています。

うま味成分であるグルタミン酸を分解したりもしますが、もっともよく知られる効果としてはその名の通り、タンパク質を分解する酵素なので、肉質を柔らかくしてしまうという効果があります。

鶏や豚、牛などの畜肉であれば柔らかいほどしっとりとして美味しくもなりますが、魚介類はもともと肉質が柔らかいため、それ以上柔らかくしてしまうと食感が悪くなってしまうのです。

店頭で売られている魚が内臓の取り除かれているものが多かったり、一尾の魚ですぐに使わないときは内臓だけを取り除いておくと長持ちするとされるのはこのためですね。

特にエビは他の魚介類と比べても劣化のスピードが速く、それを気づかって漁獲した後も船の上で活かしておくことも多いようです(1)。

そしてエビの内臓のほとんどは頭に含まれており、脳みそや肝臓、胃、心臓などの腸以外の内臓は目のすぐ裏側の頭にあるのです。

つまり頭のついたエビは内臓によって身が柔らかくなってプリプリした食感が失われてしまうのですな。ですから、エビは頭のついているものよりもついていないものの方がおいしいというわけです。

また、日本水産の研究(2)でもエビの身にプロテアーゼが作用するときの影響を調査していますが、プロテアーゼによって身の食感だけでなく、エビから抽出されるエキスも減るんだとか。
  • 頭のついたエビ
  • と、頭を除いたエビ
を比べてそれぞれプロアテーゼが作用しなくする薬を使ったエビと使っていないエビから抽出されるエキスの量を調べました。

するとやはりプロアテーゼの働きを阻害したエビは頭がついていようがついていまいが、変化はなかったのですが、プロアテーゼが普通に作用する状態であれば頭のついたエビから抽出されたエキスはついていないものに比べて1/20以下にまで減っちゃったんだとか。

つまりエビの頭があることで食感を悪くするだけでなく、うま味成分の低下にまで影響があるかも、みたいなことらしいですねえ。

ということでエビを選ぶときはできるだけ頭のついていないものを選んで、付いたものを買った場合もできるだけ早く頭と身を切り離しておくと良さげな感じですね。

どうぞよしなに。

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