脳のためには「食事の内容」よりも「食事の組合せ」が重要な話


「頭が良くなりたい!」とか「いつまでも若々しい脳でありたい!」と考えるのは普通のことだと思います。そのためには食事の内容を考えることが重要であることは言うまでもないことと思いますが、多くの場合「何を食べるか」に焦点を当てているんじゃないでしょうか?

「魚が良いよ!」とか「野菜を増やそう!」とか「鶏肉を食べよう!」とかいう感じで、「何を食べたら良いのか」についてはいろいろと言われていますが、最近出た研究(1)によれば「何を一緒に食べたら良いのか」を考えるほうが脳には重要だよ!という結論になっていまして、勉強になったのでご紹介します。

「シャルキュトリー」と「高糖質な食品」の組み合わせ

シャルキュトリーって何?って人が大半だと思いますが、フランス語で加工肉を指す言葉です。研究の出所がフランスのボルドー大学のものなのでこんな言い方になっております。いわゆるハムとかサラミ、ソーセージ、パテ、テリーヌなどの総称ですね。日本だとハンバーグとかファミ●キとかも含んでよいでしょうな。

で、研究で分かったポイントを先に言うと、
  • 「加工肉」と「高糖質な食品」の組合せをしている人は認知症になりやすい
という感じになっております。

つまり、ハムやソーセージなどの加工肉と、ジャガイモやパン、ライス、アルコールや菓子などの高糖質な食品を組み合わせて食べていた人はそうでない人と比べて脳にダメージを受ける傾向があったわけです。

加工肉に使われている保存料と肉のアミノ酸が結合して発がん性物質を作る(2)みたいな話はもともとあったのですが、さらに高糖質な食品を組み合わせると認知症につながるというのは驚きですな。

そう考えると、カツ丼とかハンバーグ定食とかサンドウィッチなどは加工肉と糖質の組み合わせですから良くないですし、お酒のおつまみに加工肉をチョイスするのは単品で加工肉を食べるよりも良くないということですね。

「摂取量」よりも「組み合わせ」が重要

まあ加工食品が脳に良くないよ!っていうのはよく言われてきたことなのですが、さらにそれと糖質の多いものを組み合わせて食べるともっと良くないよっていうデータですね。

確かに「これを食べたら脳に良くない!」とか「これを食べたら頭が良くなる!」とかスッパリ言えたら楽なのですが、人間の体も食品の性質も複雑なものなので、それぞれの食品の性質が作用しあって脳に影響を与えていることは普通の考えですよね。

そこでこの研究が面白いのは、「食品ネットワーク」という考え方を取り入れている点です。
比較的新しい考え方なのですが、ざっくり言うと「どんな食品を何と一緒に食べているか」ということです。実のところ、従来の研究では食事の摂取量と頻度だけを分析していて、「食品の組合せ」についてはあまり分析されてこなかったんですよね。

具体的な研究デザインとしては、
  1. 認知症の高齢者209人と健康な高齢者418人を集める
  2. 全員の食事を12年間追跡する
  3. 認知症の悪化具合を観察、分析する
みたいなよくあるアンケート調査なのですが、分析の段階でさらに食品の組み合わせについても考慮しているわけです。

そして分析の結果、認知症の高齢者と健康な高齢者との間には、
  1. 単純なカロリー摂取量はあまり変わらなかった
  2. しかし、食品ネットワーク(食品の組み合わせ)には大きな違いがあった
ということが分かりました。

例えば、
  • 認知症の人は、加工肉と一緒にジャガイモを食べる傾向が強かった
  • 認知症じゃない人は、肉と一緒に野菜や果物、魚介類などいろいろな種類の食品を食べる傾向が強かった
というような感じ。

平たく言うと、「脳の働きをよくするには特定のものを食べていればよい」ということではなくて、「とにかく健康そうなものを組み合わせて食べるのが重要なんだよ」っていう話ですね。

また、
  • 多種多様な食品を摂取している人ほど認知症になりにくかった
ということも分かっています。
なので、このブログを読んでいる方であれば健康的な食事に気を使っている人も多いと思いますが、「様々な種類の食品を摂っているか」ということも意識して過ごしてもらうとよりいいかもしれないですね。

まとめ

  • 脳の働きを保つには、「加工肉」+「高糖質の食品」が良くない
  • 「食事の摂取量」を気にするのも必要だが、「食事の多様性」を気にするのももっと重要
どうぞよしなに。

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