味噌を煮立たせる欠点を補う、サバの味噌煮に入れるべき調味料


サバと言えば塩焼きか味噌煮っていうぐらい、定番のサバの味噌煮。ごはんに合って美味しい一品ですよね。

けど不思議に思ったことはないですか?サバを煮るとき味噌を溶いてから煮ると思うんですけど、味噌汁は味噌を溶いたあと煮立たせちゃダメなのに、どうしてサバの味噌煮は煮立たせるんだろうと。

これは味噌と魚を一緒に煮ないと味が染み込まないからなんですが、味噌を煮立たせるデメリットを解決しているわけではないんですよね。
まあ味噌煮の場合煮立たせるメリットは他にもあるんですが、結局味が染みないよりは、味噌がマズくなってもしょうがないという妥協は残っているわけです。

そこで味噌を煮立たせるのはどうしてダメなのか?ということと、それを解決するための工夫を書きたいと思います。

味噌を煮立たせるとこうなる

味覚センサーを開発したAISSY株式会社でも検証されていましたが、沸騰した味噌汁は苦みが増すことが分かっています。

これは味噌を煮立たせることによって、フルフラールという芳香族アルデヒド化合物が生まれることによるものです(1)。

「ひね香」とも呼ばれる成分のもとですが、いわゆる苦みやえぐみを感じさせるものですね。コーヒーとか、劣化した日本酒なんかに含まれています。そう考えると煮立たせた味噌がマズくなるのも納得ですな。

具体的には、
  • 30℃の味噌汁
  • 100℃の味噌汁
を比べたとき、約5倍の化合物の変化があったのだそう。

加熱によるフルフラールの増加について研究者は、

フルフラールの生成は糖のカラメル化反応によるのではなく、むしろアミノカルボニル反応における糖の中間体の解裂に由来するものである

とコメントしております。つまり、味噌を煮立たせることにより味噌に含まれる糖とうま味成分が反応して苦みが出るのだと。

平たく言うと、甘みとうま味を減らして苦みを作るのが味噌を煮立たせる行為というわけですな。

苦みを抑える

減った甘みやうま味は、砂糖や出汁で補うとして、問題は生成された苦みですね。
これに対処するための方法として「味の抑制効果」を使います。

これは2種類の味を混ぜた時に一方もしくは両方の味の特徴が弱められる効果のことなのですが、苦みの場合は「酸味」によって弱められます(2)。ビールにライムとかを入れるのもこの効果を狙ってのことでしょうね。
ちなみに甘味も苦みの抑制効果として働きますが、サバの味噌煮には普通砂糖を入れると思いますのであえて挙げません。

つまり、サバの味噌煮を作るときは酸味のあるもの、例えば酢などを少量入れて煮込むと味噌を煮込んだときの苦みが抑制されるというわけです。

「味噌煮に酢を入れるの!?」と驚く人もいるかもしれませんが、実は突飛なことではなく、日本料理人の野崎洋光さんもこの方法でサバの味噌煮を作っているみたいですね。

酢なんか入れて酸っぱくならないのか心配する人もいると思います。しかし、少量であれば何の問題もありません。

というのも、苦味と同様に酸味も苦味に対して味の抑制効果をもっているのです。

つまり、苦いところに酸っぱいものを入れると、苦さが抑制されるのと同時に酸っぱさも抑制されるので気にならないというわけですね。

サバの味噌煮もそうですが、味噌煮込みうどんとか味噌を煮立たせる料理には何でも使えると思います。ぜひお試しあれー。

どうぞよしなに。

コメント

人気の投稿