どうやってプロは料理の味を決めているのか?煮物を作るときの調味料の割合を解説


基本和食のメニューで使う調味料って、醤油・酒・みりん・砂糖がメインで、あとは塩とか味噌ぐらいでしょうか。それらを出汁とかの水分で割り、他の食材で香りをつけて多種多様なメニューを作ります。

肉じゃが、角煮、野菜の煮物、煮魚、お浸し、吸い物、うどんや蕎麦のつゆ…、etc.

実はこれらすべて、基本は水と醤油と砂糖、あとはみりんか酒があれば作れちゃうんですよね。
少ない調味料でよくもまあこんなにも飽きずに料理が食べられるもんですな。

しかし、少ない調味料でやっているからこそ、適切な割合で料理しないと味がうまく決まらなかったり単調になってしまうことがあります。
そして毎度毎度レシピサイトとかで、「この料理は醤油を大さじ一杯入れて…」とか検索しながら料理するのも面倒くさいですよね。

そこで、なぜこの料理ではこの調味料の割合なのか?ということを根拠を示しながら覚えやすいように体系的に解説していこうと思います。

調味料の分量は割合で覚える!

だいたいのレシピサイトや料理の本では調味料の分量を小さじや大さじ、カップ数などで表記してあります。
確かに分量すべてがだし汁200ml、醤油25ml、砂糖12gなどと書かれるよりも、カップで2杯とか大さじで1杯とか書かれていたほうが分かりやすいですよね。

しかしこれが、だし汁カップで1杯と1/2、醤油大さじ2、砂糖小さじ2とか数字が細かくなると急に覚えにくくなります。

それよりも、
  • だし汁:醤油:砂糖=10:1:0.3(カップ1杯と1/2、醤油大さじ2、砂糖小さじ2
のように割合で覚えたほうが簡単に覚えられると思いませんか?

また小さじや大さじだけで覚えていると、レシピに書いてある人数分で作るときの分量にしか対応しておらず、覚えていたレシピが何人分だったのかも覚えなくちゃいけませんし、
作りたい分量が3人分で覚えていたレシピが2人分だったときには大さじや小さじをいちいち1.5倍にしなくちゃいけないので、もう面倒くさいですよね。

その点割合で調味料を覚えておけば、おたまや鍋でも簡単に計れますし、必ずしも小さじや大さじの計量器を使わなくちゃいけないということもありません。
なんなら慣れてきたら、目分量でもなんとかなっちゃうでしょうからね。

なので、料理するときに小さじや大さじなどの計量器を使うことは構いませんが、だいたいの調味料の分量は割合で覚えておきましょう。

8:1:1が基本の割合

出汁:醤油:みりん=8:1:1
が基本の調味料の割合になります。略して8:1(はちいち)と呼ぶことにします。

これは「八方地」と呼ばれるもので、八方美人という言葉が由来となっています。あらゆる料理に使える使い勝手の良いものになります。
料理屋によってはこれが9:1になったり10:1になったりと店によって若干の違いはありますが、基本はこの8:1を基準に覚えておくとよいでしょう。

八方の8と出汁の8が同じなので覚えやすいですね。出汁8にそれぞれ醤油とみりんを1ずつ加えたものになります。

具体的には、冷たい蕎麦のつゆ、煮物全般、お浸しなどによく使えます。

8:1を応用して、さまざまな料理に展開!

8:1がいくら使い勝手の良いものだといってもそれだけですべての料理の味付けに適用できるわけではありません。
8:1を基準として、他の割合も説明いたします。

6:1:1

出汁:醤油:みりん=6:1:1
は揚げ出汁豆腐や天ぷらの天つゆに使えます。

8:1が冷たいそばのつゆだと説明いたしましたが、それよりも出汁の量が少なくなっており濃い味付けになっています。

理由は、豆腐や天ぷらは蕎麦よりも大きく味が染み込みにくいので濃くします。

4:1:1

6:1:1よりもさらに濃い味付けになりますが、これはそうめんのつけつゆです。

そうめんは氷水に使っていることが多く、食べる時に味が薄まるので最も味が濃くなります。

15:1:1

これは温かい蕎麦のつゆになります。冷たい蕎麦のつゆよりも味が薄くなっているのは、温かい蕎麦はつゆも一緒に飲むので、冷たい蕎麦のつゆと同じ味付けではしょっぱすぎて食べられないためです。

あとは薄味の煮魚にも使えます。一尾の魚ではなく切身の魚で白身のものが好ましいです。このとき塩をあらかじめして下味をつけておくことが前提なのですが、塩のおかげで汁自体が薄味でもおいしく食べられることができ、さらに素材の味も殺さずに調理することができます。

魚の塩加減についてはこちらで詳しく書いてあるので、ご参照のほどを。

「8:1」、「6:1」、「15:1」をさらに展開!!

8:0.5:1

8:1:1の醤油の部分を1から0.5にした形です。野菜の煮物などに適しています。

野菜は基本的に肉や魚よりも味が淡く薄いものが多いです。そのため、醤油の味が強くなりすぎると味が染み込み過ぎてしょっぱくなったり、素材の味が生かせなくなるため、醤油の量を減らしています。

8:1:1:0.5

出汁、醤油、みりんにさらにもうひとつ最後に砂糖を0.5プラスしたものです。
肉じゃがや筑前煮ではこの割合でやると良いでしょう。

「甘いはうまい」という言葉もあるように、使う素材にあまりうま味がないなっと感じる時に砂糖を入れるイメージです。

またこれは8:0.5:1:0.5と醤油の割合を減らすこともあります。理由は8:0.5:1のときと同じで素材の味をより引き立たせたいときに使いましょう。

6:1:1:0.5

これは濃い味の煮魚に使ってください。一尾のまま魚を煮るとき用ですね。一尾の魚はいくら煮ても味が染み込まないので、煮汁自体を味の濃いものにする必要があります。

16~20:1:1

15:1の出汁の割合を少し多めにした形です。温かいうどんのつゆになります。
同じような料理なのに温かい蕎麦のつゆ(15:1)よりもさらに味が薄くなっているのは、蕎麦と違ってうどんの麺には塩が入っているためです。
またうどんによってどれぐらい塩が練り込まれているのかということも違っているため、出汁の割合を16~20と少し幅を利かせています。
料理するときに味を見ながら調整してください。

20:1:0.5

おでんの基本割合です。おでんは大根など素材の味が薄いものも含まれます。なので、味が濃すぎると醤油の味が濃すぎで素材のを生かしきれません。
さらにおでんは汁を飲むことも考えなくてはいけないので、素材の味を生かしつつ汁もおいしく飲み干せる割合になっております。

25:1:0.5

これはお吸い物の汁になります。料理屋では「吸い地」と呼ばれています。人間の体液は約0.8~1%の塩分濃度になっており、この割合で作ると同じぐらいの濃度になり、生理的に一番おいしいと感じる塩加減になります。

またこのときみりんもしくは酒の量を0.5と他と比べて半分にしたほうが、出汁の風味を邪魔せずにおいしく仕上がります。

調味料が変わるとき

ここまで、出汁:醤油:みりん:(砂糖)で説明してきましたが、厳密にいうと
料理によっては出汁の部分をただの水にしたり、みりんを酒に置き換えたり、醤油は濃口か薄口で使い分ける必要があります。

素材と向き合いながらそこは変えていく必要があるのですが、基本的には

出汁については
  • 調味料や素材の味が濃くなれば、強くする
  • 調味料や素材の味が薄くなれば、薄くもしくはただの水にする
みりんと酒かを選ぶときは
  • 甘さやうま味をつけたいときはみりんを使う
  • 素材自体にうま味が多く含まれるときは酒を使う
  • 早く蒸発させて煮詰めたいときは酒を使う
濃口か薄口かを選ぶときは
  • うま味が足りないときはうま味の多い濃口を使う
  • うま味が十分なときや素材の味を生かしたいときは薄口を使う
といったことを意識すればよいでしょう。

まとめ

表ににしてまとめてみたので料理を作るときのご参考になれば。


どうぞよしなに。


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