玉子焼きはザルで濾してから焼いた方がふんわりおいしい理由


お弁当や普段のおかず、またはお酒のおつまみなんかでも定番の玉子焼き。ふんわりと柔らかく仕上がったものは特においしいですよね。

最近だと卵は1日にたくさん食べても問題ないとされているので、卵好きにとってはいくらでも食べたい気持ちでいっぱいかと思います。

おそらく出汁巻き玉子なんかだとザルで濾してから焼く人も多いかと思うんですが、実は普通の玉子焼きでも同じように濾したほうがふんわりと柔らかくなっておいしく仕上がることをご存じですか?

今回は玉子焼きを作るときにザルで濾した方がふんわりとおいしくなる理由をご紹介します。

濾すことでふんわり柔らかくなる

よく卵液をザルで濾すとキメが細かくなると言います。このキメが細かいとはどういう状態かというと、卵白と卵黄がしっかりと混ざり合って均一な状態になっていることを指します。

例えば玉子焼きを焼いたときに、ところどころ白身が残った状態のものを見たことがないでしょうか。こんな感じで↓


この状態のものは混ぜ方が足りなく、卵白と卵黄が均一に混ざり合ってないためにキメが荒くなっています。

ゆで卵を食べた時のことを思い出してもらえると分かると思うんですが、黄身よりも白身のほうが食べた時に固いですよね。また、温泉卵がおいしいのは白身が完全に固まってなくて柔らかいからでもありますしね。

なので、均一に混ざり合っていない玉子焼きはそれと同じように、白身の部分が固くなりすぎてしまうので、全体としてふんわりとしていない玉子焼きになってしまうのです。

ザルで濾すと卵白と卵黄が均一に混ざり合うので、やわらかくなるというわけですな。

タンパク質の変性が緩やかに

白身のほうが黄身よりも固いのなら、均一に混ぜたら確かに一部分だけ固い部分はなくなるかもしれないけど、全体として固くなるんじゃないかと思う人もいると思います。

ところが、白身は黄身と混ざり合うことでより柔らかくなるということが分かっております。

つまり、均一に混ざり合うことで固い白身部分が目立たなくなるだけでなく、さらに白身の固さ自体も柔らかくなるというわけですな。

これは卵黄に多く含まれる脂質が卵白のタンパク質の網目構造に入り込んで、加熱したときの変性を緩やかにするためです。

まずタンパク質は、
  • 外側に露出した親水性領域という水と馴染みやすい部分
  • 内側に隠れた疎水性領域という水と馴染みにくいが、タンパク質や脂質とは結び付きやすい部分
に分かれます。

そしてタンパク質は加熱されると構造が崩れ、内側に隠れている疎水性領域が外側に飛び出してきます。

卵白と卵黄がしっかりと混ざり合っていると、卵黄に含まれるレシチンなどの脂質が卵白の疎水性領域と結びつく割合が増えます。

つまり、
タンパク質が固くなる時というのは、タンパク質とタンパク質同士が熱で結びつくことによって固くなるのですが、代わりにタンパク質と脂質が結びつくので、タンパク質の熱変性が起こりにくいというわけです。

まとめ

  • 玉子焼きが固くなるのはタンパク質とタンパク質同士がくっつくため
  • 卵黄と卵白が均一に混ざると、卵黄の脂質が卵白のタンパク質と結びつきやすくなる
  • ザルで濾すことにより均一に卵液が混ざるので、卵か固くなりにくくふんわり柔らかくなる
というわけでした。

ふんわりした玉子焼きを食べたいなら、焼く前にザルで濾すという手間を忘れずに。

どうぞよしなに。

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