煮物を作るとき少ない煮汁でも味をムラなく染み込ませる方法


煮汁の量は基本的に食材の特徴や大きさ、または火力などによって決められます。

煮物の種類としてはたっぷりの煮汁を使う「含め煮」がありますが、これは煮汁が完全に食材に浸っているため味のムラが少ないです。煮崩れしやすい食材のときに使われることが多かったり、味の染み込み具合を計算するのが難しいという人も中にはいますが、ムラができやすいかどうかで言えば、楽だという人も多いですね。

対して煮汁を煮詰めて残さない「煮しめ」や、そもそもの煮汁が少ない「煮っころがし」とか「炒め煮」なんてのは味のムラができて難しそうと思ったことはないでしょうか?

そこで煮汁が少なくても味のムラができにくくする方法を書きたいと思います。

食材をひっくり返すタイミング

煮汁が少ないということは、煮汁が浸かっていない上の部分に味が染み込みにくいので、適度なタイミングでひっくり返すか煮汁を上から掛け続ける必要があります。

「調味料の食品への浸透について」という研究(R)では、1個100gにカットしたじゃがいもを使って、
  • 食材に対して1/3の煮汁
  • 食材に対して1/2の煮汁
  • 食材に対して2/3の煮汁
  • 食材に対して同量の煮汁
で煮たものを比べたとき、煮汁が少なくなるほど下にある食材の味が濃くなり、上にある食材の味が薄くなるという結果が出ています。

具体的には、
  • 同量の煮汁で煮たときは、上と下で差はなかったが、
  • 食材の1/3の煮汁で煮たときは、上と下で約4倍もの味の染み込み方の違いがあった
らしいです。

そこで、同じ実験なのですが、一番煮汁が少なく味にムラができた「食材に対して1/3の煮汁」で煮物を作ったとき、「どのタイミングで食材をひっくり返せば味の染み込み方に差がなくなるのか」ということを検証しました。

検証した方法は、
  1. 裏返さないもの
  2. 沸騰後15分で裏返したもの
  3. 沸騰後20分で裏返したもの
です。結果、沸騰後20分で裏返したものは上下でほとんど味のムラがなくなったそうで、これは全加熱時間の2/3の時間で裏返した状態だったそうです。

この実験ではほぼ丸のじゃがいもを使っており、他の食材だとどうなるのかということは一概に言えないものの、煮あがりの2/3ぐらいの時点で裏返すというのはひとつのガイドラインとなり得そうですな。

落とし蓋の種類

また、落し蓋をすることも味のムラを少なくする方法として有効なようです。
というのも、落し蓋をすると煮汁が蓋をつたって広がり、結果として煮汁を上から掛け続けるのと同じ効果が得られるからですね。

そこで、
  1. 落とし蓋なし
  2. 落とし蓋あり
  3. 紙蓋(和紙)
  4. 紙蓋(和紙)+煮あがり後、丸1日そのまま放置
  5. 紙蓋(セロファン)
  6. 穴あきの紙蓋(セロファン)
の方法でじゃがいもを煮てみました。

落とし蓋はよくある木製で鍋よりも一回り小さい蓋ですね。
そして、和紙は吸水性がある紙ですので、現代で言えばキッチンペーパーなんかと同じでしょう。そして、それをそのまま放置したときの味の染み込み方についても検討しました。
セロファン性の紙は吸水性がないので、クッキングシートやアルミ箔でも同じような感じになるでしょうね。

結果、じゃがいもの上下での吸塩量の差は、
  1. 落とし蓋なし:0.66
  2. 落とし蓋あり:0.33
  3. 和紙:0.34
  4. 3を放置:0.39
  5. セロファン:0.54
  6. 穴あきセロファン:0.44
だったそうです。つまり、普通の落とし蓋が最も効果が高く、吸水性のあるものでやっても同じぐらい効果があったそうですね。

吸水性のあるのもので落し蓋をしてそれを放置すると、上部からも確かに味は染み込むのですが、それ以上に煮汁に浸っている部分から味が染み込む量が多いので、結果放置しないものよりも味の染み込み方が大きくなったみたいですね。

また意外だったのは吸水性のない落とし蓋でやると、落とし蓋なしよりかは確かにムラができなかったのですが、他の方法に比べるとムラが大きかったことですね。

どうやら蒸気の出口がないとうまく煮汁が回らないようで、もし落とし蓋にアルミやクッキングシートなどを使う場合は、穴をいくつか開けて使用したほうが良いみたいですねえ。

どうぞよしなに。

コメント

人気の投稿