もう痛くない!涙の出ない玉ねぎの切り方【生理学的アプローチ】


玉ねぎって色んな料理に使えて便利なんですけど、いかんせん切っている途中に目にしみるのが厄介ですよね。

何かいい方法ないかなー、なんて思ったことのある人は多いんじゃないですか?

自分なんかも、今回は絶対大丈夫だ!なんて根拠のない自信で玉ねぎを切り始めるんですが、まあだいたい目が痛くなって切った後に過去の自分の無謀な行動を後悔します…。

ですが、これから紹介する方法を試してからは自分は涙が出なくなりました。

酸っぱい食べ物を食べながら玉ねぎを切ると涙対策に!

酸っぱい食べ物、例えばレモンとか梅干しとかですね。こういうのを食べながら玉ねぎを切ると涙が出なくなります。

というのも、人間の体は涙を出すことよりも唾液を分泌させることに優先順位を高く置いてるみたいなんです。

酸っぱいものは唾液の分泌を促進させるので、その分涙が出にくくなるというわけですな。

ですので、酸っぱいものじゃなくても唾液を多く分泌させるようにしてあげれば何でもいいわけです。

例えば、スルメとかガムとかを噛みながらやってみるだとか。あとは舌で上あごを強く押し上げてみるとかでも唾液の分泌量は増えます。

涙は出ないけどやっぱり痛いんじゃないの?

玉ねぎを切ったときに涙が出るのは玉ねぎの成分を涙で洗い流そうとする防御反応なので、玉ねぎの成分をどうにかしない限り、涙の分泌量を抑えただけだと逆に目が痛くなってしまうんじゃないの?という人がいます。

しかし玉ねぎを切った時に涙が出る理由が分かれば、これは間違いだということが分かります。

なぜ玉ねぎを切ったときに涙が出るか?というと、
傷つけられた玉ねぎの細胞はシステインスルホキシドという硫化性の物質とアリイナーゼという酵素が反応して、プロペンスルフェン酸を作ります。
これがまた別の催涙因子合成酵素(LFS)と反応してPTSOという硫化性のガスを発生させます。
このガスは気体のままだと人体にとって無害なのですが、水分に溶けやすい性質を持っており、涙液と反応して有害な成分になります。
そしてこの有害な成分が、玉ねぎを切ったときの目の痛みの正体なわけです。

なのでこの成分を大量の水分で洗い流すために、涙が出るんですな。

ざっくり簡単に説明すると、
  1. 包丁などで玉ねぎの細胞が傷つけられる
  2. 玉ねぎが「ヤバい、死ぬ!」ってなって、自分を守るために硫化性のガスを発生させて攻撃してくる
  3. このガスがヒトの目や鼻の粘膜に溶けて硫酸と似た物質になるので痛い
  4. 痛いので大量の涙で洗い流す
ということです。ハッキリしたメカニズムは最近まで分かってなかったんですけど、東京大学の研究(1)によって解明されたようです。

ポイントは目が痛くなって涙を出させる成分は、水分に溶けてはじめて生成されるという点。

なので涙が分泌される量が減ると、そもそも有害な物質が目にできにくくなるので、痛くはならないというわけですね。

ちなみにですが、唾液が多く出ると目が痛くなくなる理由として、玉ねぎから出たガスが目に届く前に唾液が吸収してくれるからだという人がたまにいるんですが、それも間違いだということが分かりますね。
ガス自体が有害なのではなく、涙液を減らすことにより玉ねぎのガスが有害になるのを防いでいるだけですから。

手元で発せられている気体が目の中に届く前にすべて口で吸い込んでいるという考え自体無理がありますわな。

ドライアイだと玉ねぎが目にしみる、問題

涙が出ない人ほど玉ねぎが目にしみないのだとすると、ドライアイの人は玉ねぎを切っても目にしみないはずですよね。

けどネットで検索してみると、
  • 私はドライアイなので、玉ねぎを切るとめちゃくちゃ目が痛いです!
みたいな人がチラホラ。これってどうなんでしょうね。

気になって調べてみると、もしかしたらこの人たち、自分がドライアイだと勘違いしているだけかも。

ドライアイの症状が悪化すると、黒目の部分に黒い筋が現れることがあります。これはダークスポットと呼ばれるものなのですが、涙で覆われなくなった部分に浮かび上がってくることがあります。放置していると失明したりと大変危険な症状です。

東京歯科大学市川総合病院の調査によると、玉ねぎを切った時に涙が出ない人たちの約7割にダークスポットがあったそう。

つまり、ドライアイの人ほど玉ねぎを切っても涙が出ないことが分かっているわけです。

ですからこれは予想ですけど、ドライアイだから玉ねぎが目にしみると言っている人たちは、
  1. 玉ねぎを切ると涙が出る
  2. なので涙は玉ねぎを切ったときの痛みから体を守ってくれるという偏見がある
  3. 玉ねぎを切ったときは必ず目が痛いということに気付く
  4. 自分が涙が出やすいのは目が乾燥しているからなんだ!と思い込んじゃう
みたいな感じなのかと。あくまで予想ですけど。

それでも目が痛いという人へ

目が乾燥することによって玉ねぎが目にしみないようなるわけですが、唾液の分泌量を増やして減らす涙液の量にも個人差があるでしょう。

ですから、唾液を多く分泌させながら玉ねぎを切っているのにまだ目が痛い!という人も中にはいると思います。

なので、それでも目が痛い人のために、あといくつか玉ねぎを切るときの目の痛みを軽減する方法をご紹介しておこうと思います。

1.包丁やまな板を濡らして切る

玉ねぎを切ったときに出る硫化性成分は、水に溶けやすいということを書きました。
なので包丁やまな板を濡らしてから切ると、目や鼻に届く前に水分が成分を吸収してくれるわけです。
ただ、切るときにちょっと滑りやすくなるので指を切らないようにご注意を。

2.玉ねぎを冷蔵庫で十分に冷やす

目を痛くする成分ができるには玉ねぎの中に含まれる酵素の力が不可欠です。冷蔵庫で冷やすことによってこの酵素の働きを弱めるわけです。
パンを作るときなんかは、イースト菌っていう酵素を十分に働かせるためにあたたかいところで発酵させますよね。冷たい状態だと酵素がうまく働かなくて、結果目を痛くする硫化性の成分も発生しないわけです。
ただ、玉ねぎは他の野菜と違い、湿気を嫌う野菜なので湿度が高い冷蔵庫で長期間保存してしまうと、水分が出て柔らかくなったり腐りやすくなるので、基本的には常温で保存しましょう。

3.電子レンジで丸ごと温める

上の冷蔵庫で冷やすのと同じ理由です。高すぎる温度も酵素の働きを弱めます。電子レンジだと一瞬で中まで熱が伝わるので酵素の働きが一気に弱くなります。
熱を通す料理に使うときはいいかもしれませんが、サラダなど生で食べるときは食感や風味が変わってしまうのであまりおすすめしません。

4.切れる包丁を使う

玉ねぎの細胞が傷つかないと、硫化ガス発生の元となるスルフェン酸は発生しません。切れ味の良い包丁を使うと、断面もきれいに切れるので細胞の損傷も少ないというわけです。

まとめ

玉ねぎを切るとき涙が出て痛くて困っている、という人は是非
  • 唾液を多く分泌させながら玉ねぎを切る
ということをやってみてください。
唾液の分泌を増やすには、酸っぱいものを食べたり、歯や顎に刺激を与えるとよいでしょう。

他にも、
  • 切るときに使う調理器具を濡らす
  • 玉ねぎを冷やすor温める
  • 切れ味の良い包丁を用意する
という方法もあります。

やりやすい方法をお試しください。

どうぞよしなに。

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